第28章 佐助のターン
(……ここは……どこ?)
暗闇の中に明るい光を感じた。
と、同時にゆっくりと意識が戻ってくる。
熱のせいでどのくらい寝ていたのだろう。
確か川に飛び込んで…足が痛くて体は寒くて…
なのに今は全身が暖かくてポカポカでどうしようもないくらい気持ちがいい。
(私……生きてるんだよね?)
生きている何よりの証拠に、繋がれた右手の暖かさに安心する。
(もう少しこのままでいたいな……ん?右手、繋がれてる!?)
意識が朦朧としてまだ夢でも見ているのかと思ったがそうではないらしい。
ゆっくりと目を開けた瞬間、急にリアルな現実世界に戻される。
見たことのない天井。
額に乗せられた熱冷ましのための冷たい手拭い。
(……あれ?……あっ!!)
はっと我に返った直美の視界に入ったのは久しぶりに会う小太郎の姿だった。
しかも右手を繋がれている。
(夢じゃなかった!!)
『小太郎さん……ですよね』
そのままゆっくりと目を開け、声にならない声で尋ねる。
『直美様、お久し振りです。こんな所で再会するとは思いませんでしたね』
絶対に間違いない。
目の前にいるのは小田原城でいつも自分のそばにいた小太郎だ。
(どういうこと?)
早くも頭の中が混乱してきそうになってきた。