第28章 佐助のターン
『直美様は大丈夫ですか?少し離れた場所に我々一族の隠れ家がありますのでいらっしゃいませんか?早く休ませてあげた方が良いと思うのですが』
『すみません、お願いします』
今は小太郎の手を借りるのが一番良いと判断し、佐助は言葉に甘える事にした。
隠れ家に案内されると直美はすぐにお湯を絞った手拭いで体を拭いてもらい、着物を着替え、暖かい部屋に寝かされる。
佐助が来ていた服は庭で火を焚いてもらうとすぐに乾いた。
無事に一息ついたところで小太郎に状況を説明する。
直美と佐助がここに来るまでの経緯。
一乗谷城で爆発が起きたこと。
犯人がわからないこと。
追っ手の忍に追われ、崖から川に飛び込んだこと。
とにかく今はわからないことだらけだった。
『小太郎さん、直美さんの体調が戻るまで俺たちをここに置かせてもらえませんか?』
『もちろん構いませんよ。狙われているのであればむしろ落ち着くまではその方が良いでしょう』
快諾してもらえた事に佐助はほっと胸を撫で下ろす。
『それと…ここにいる間、俺に稽古をつけてくれませんか?』
『稽古を?なぜです?』
『俺は貴方には全くと言っていいほど敵わなかった。もっと強くなりたい、ならなきゃいけないんです。貴方から忍の戦い方をもっと学んで直美さんを守りたいんです。お願いします』
佐助は思っていた事を伝えると小太郎に深く頭をさげた。