第28章 佐助のターン
佐助は歩きながら直美が自分の悪運の強さについて語っていたことを思い出していた。
そしてひたすら頭の中で自問自答を続ける。
もしかしたら全ての種を蒔いているのは自分なのではないか。
2018年から来たのは同じなのに、自分だけが本能寺の変の起きる4年前に飛ばされている。
飛ばされた先で、目の前で倒れていた謙信の命を救ったことで歴史が少しずつ狂い始めたのだとしたら…それが全ての始まりなのかもしれない。
しかし目の前で苦しむ謙信を助けた事は当然だと思っているし、逆に謙信をあのまま見捨てていたらずっと今でも後悔していたはずだ。
直美が少し後に飛ばされたのは、自分が狂わせてしまった歴史を結果的に大きく変えないためであって、色々な事に巻き込まれるのはそのためではないのだろか。
もし仮にそうであれば今回の事だけに関わらず、これまでの全てのトラブルに直美を巻き込んでいるのは確実に自分なのだ。
今まで誰にも言わなかったが佐助は一人で責任を感じていた。
『きっと全部俺のせいなんだ。ごめん』
意識のない直美が返事をする事はなかった。