第28章 佐助のターン
『佐助君!大丈夫?おーい、佐助くーん!お願いだから返事してー!!』
大きな声で呼んでみたが返事はない。
どうやら気を失っているのか、佐助が起き上がる気配はなかった。
(もしかしたら川に飛び込んだ時にどこかを打って怪我でもしちゃったのかもしれない。出血してたら大変だから早く向こう側に行かなきゃ!)
急いで橋を探すが、こういう時に限って探し物は見つからない。
『もうっ!何で橋がないの!!』
思わず言葉に出てしまう。
熱があった体は濡れた着物と夜の風によりどんどん冷えていく。
草履は川に飛び込んだ時に流されてしまい、足の指先が冷たいを通り越して痛みを感じ始めていた。
(どうしよう、すごく寒い!それに足も痛い!でも早く佐助君の所に行かないと!)
とにかく早く向こう側に渡るための橋を見つけたくて再び一歩踏み出したのだが。
(っ……佐助君……信じてるから……)
かなり高熱が出ていた様で、ここでぷつりと意識が途切れてしまったのだった。