第28章 佐助のターン
裏門から佐助と直美を追いかけ始めた謙信たち。
進んでいくと少し先に白い煙が立ち込めているのを発見した。
『この煙の匂い…これはおそらく佐助殿による煙幕でしょう。やはり追っ手がいると思われます。気をつけてください』
『上手く撒けてるといいけどな』
『追っ手を見つけたら容赦なく斬れ』
すぐに斬りかかれる様に、刀に手をかけたまま先を急いだ。
だが煙幕が張られたであろう場所にはすでに人の気配はなく、争った形跡も見当たらない。
『追っ手もすでにここを離れていますね、我々も先を急ぎましょう』
一方、政宗と家康も城下にある登城口から裏門に向かって佐助と直美を探しながら進んでいた。
『まだこの辺りを通った形跡はないですね』
『裏門からも追いかけてる。必ずどこかで鉢合わせるはずだ』
政宗は目を細めながら暗くなり始めた道の先を見つめる。
『すっかり遅くなっちまったが、早く連れて帰って美味しいものでも食わせてやるか』
『あの子のへらへらした笑顔を見るにはそれが一番早いですからね』
2人はその後も会話をしながら裏門に向かって進んでいたが、前方からなぜか謙信たちが近づいてくるのに気づいて足を止める。
謙信たちも向こう側から政宗と家康が来るのに気がつき、険しい表情になった。