第28章 佐助のターン
急いで前に進み続ける佐助だったが、ついに逃げ場がなくなってその場に立ち尽くしてしまった。
これ以上進めばその先は崖。
約30メートルほど下には一乗谷川が流れているが流れの強さや深さまではわからない。
佐助は直美を地面に下ろして立たせると、向かい合ってすぐに話し始める。
『直美さん、絶対に助けるから今は俺を信じてついてきてくれる?』
いつもと変わらない無表情なのに、この時だけはその瞳に宿る力に圧倒された。
佐助のこんな表情は今までに1度も見たことがない。
『うん、信じるよ』
迷わずそう答えた。
後ろからの追っ手の目的も狙いもわからない。
唯一わかったのは佐助か直美か、もしくは両方が忍に追われているということ。
佐助がそれを直美に伝える前に、2人の足元に再びクナイが突き刺さる。
『佐助君!!』
『大丈夫だから俺を信じて!』
佐助は煙幕の玉を下に投げつけると、直美を両手で抱き抱えるようにして崖下の川の中へ飛び込んだのだった。