第28章 佐助のターン
とにかく早く城下町に出たい、佐助はその一心で走り続けていたが今度は前方に何者かの気配を感じる。
(向こうは用意周到に待ち伏せしていたという事か。前も後ろも塞がれたなら残された道は横しかないな)
こちらの気配を悟られる前に、横に静かに進路を変えて道なき道を進んでいく。
四方八方に伸びた草や木の枝が体に当たり、その感覚で寝ていた直美が目を覚ましたのがわかった。
『ごめん、起こしちゃったね。体、辛くない?』
『大丈夫だよ。ここは?』
『まだ城下町に出る前なんだ。実は前も後ろも道を塞がれちゃったみたいだから、横に迂回して城下を目指そうと思ってたん…っ!!』
話をしていた佐助の足元にクナイが数本突き刺さる。
(忍がいる?一体どういう事だ?)
『直美さん、全力で走るから落ちないようにしっかりつかまってて!!』
『わかった!』
もう前に進むしかない。
佐助は持っていた煙幕の玉を右手に握り、使うタイミングを見ながら道なき道を走り続けた。