第28章 佐助のターン
三成は城下で待機していた織田軍の兵を連れてくると、朝倉と長政の身柄を安土に送るため自らが隊の先頭に立って帰城のために指揮をとる。
『政宗様、家康様、直美様の事をよろしくお願いします。信長様への報告もしておきますのでこちらのことはお任せください』
『三成、悪いな。頼んだぞ』
『ぼーっとして2人に逃げられない様にしなよ』
三成たちを見送ると政宗と家康は裏門に続く登城口を探し、そこから薄暗い森の中へと足を進めて行った。
直美を背負って歩く佐助。
すぐに背中越しに聞こえる寝息に安堵するが、背中から伝わる体温からかなり熱が上がっているのが分かる。
(このまま城下町まで急ごう)
休むことなく歩き続けていると後ろに誰かがいる気配を感じる。
(追っ手か?狙われていたのが俺たちだとまずいな)
佐助は懐に片手を入れると丸い玉を取り出して下に投げつけ、直美を背負ったまま全力でその場から走り去った。
下に落ちたその玉は佐助が自作した煙幕だった。
地面に落ちた衝撃でその場に白い煙が立ち込める。
なんとかその場を上手く切り抜けたものの、これは単なる時間稼ぎにすぎない。
なぜならば人が通れる道は一本しかなく、進む方向が嫌でもわかってしまうからだ。
(もし追っ手だとしたら、このままだとすぐに追い付かれるな)
たがこの状況ではとにかく前に進むしかなかった。