第27章 偽りの同盟
『謙信様、やはり我慢出来ませんでしたか』
『俺にはくだらん演技など必要ない』
『やれやれ、やり合う時間がだいぶ早まったな』
景家の計画では織田軍が一乗谷城を攻めてから攻撃に転じる予定だったのだが、織田軍より先に謙信の我慢の限界が来てしまったのだった。
そして狭い広間でいきなり5人の斬り合いが始まる。
異変に気づいた朝倉の兵が広間にかけつけるが焼け石に水状態。
向かって行った者は次々謙信たちに斬り伏せられていく。
状況を見て不利だと判断した朝倉と長政は目を合わせると広間の外へと飛び出して行った。
この2人をこのまま謙信たちが逃がすわけもなく。
景家を先頭に信玄と謙信も広間を飛び出して2人を追いかけて行ってしまった。
広間にポツンと残された直美と佐助。
『行っちゃった……謙信様、楽しそうだったね』
さっきまで目の前で何本もの刀から火花が散っていたとは思えないくらい、室内は静まり帰っていた。