第26章 金ヶ崎城
景家はまっすぐに一乗谷城の城下町を目指し、城下の外れにある森の中で謙信たちに合流していた。
『謙信様、越前までお越しいただきありがとうございます。信玄殿、三ツ者たちのおかげでこうして無駄な時間がなく合流出来る事、感謝いたします』
『礼はいい。景家、直美はどこだ?』
謙信からさっそく質問が飛んでくる。
『すでに金ヶ崎城を発ち、明日には一乗谷城に来られるかと』
『では城には入れさせずに浅井と朝倉を斬る』
その口調から今すぐに浅井朝倉と刀を交えたい、そんな気持ちが伝わってくる。
『謙信様、どうかお待ちください』
景家が冷静に謙信を引き止め、今回の作戦を伝えた。
『ではさっさとその偽の同盟とやらを結びに行くぞ』
謙信は待ち切れずに城主が不在となっている一乗谷城に向かって歩き出す。
後ろで黙って聞いていた信玄と佐助もこれは止められない、と諦めの表情で謙信について行った。
当然ながら、謙信たち一行の突然の訪問に城内は騒然とし始める。
しかも訪問の目的が同盟を組む事だと知ると朝倉の元に急いで文が届けられ、それを読んだ朝倉と浅井は大急ぎで馬を走らせ一乗谷城に向かったのだった。