第26章 金ヶ崎城
『成る程、このところの織田軍は調子が良さそうでしたからね。越後へ攻める気がないならそれで結構です』
『軍神に伝えてくれ。軍神と戦女神、もし我々が手を組めば怖いものなどないだろうとな』
『お伝えしておきます。おそらく前向きに検討なさると思いますのでまた近いうちに、次は一乗谷城へご挨拶に参ります。では今日はこれで失礼いたします』
景家は礼をすると立ち上がり直美に視線を向ける。
(状況はわかりました。あと少しお待ちくださいね)
(この2人と一緒にいること、織田軍の皆に伝えてください!)
無言で会話を交わすと景家は広間を出ていった。
城下町の小さな宿屋の一室。
政宗、家康の2人に景家が合流するとすぐに金ヶ崎城でのやりとりが報告された。
『直美様の事を戦女神だと言っていました。安土で暮らすようになってから織田軍は負け知らずだとも』
一つ一つを思い出しながら言葉にしていく。
『たしかにあの子が来てからは撤退も敗戦もない。でもそれはただの偶然でしょ』
『だが信長様の機嫌もいいし、士気を上げた存在と言えるのは確かだ。戦女神は大げさだけどな』