第25章 茶会
すぐに広間へ案内され、長政の到着を待つ。
『茶室の中に入れるのは正客の直美だけだからね。俺と政宗さんが茶会の間になるべく内情を探る。時間としては半刻くらい。何も心配しなくていいからちゃんと茶会に専念してて』
『うん、わかった!』
会話が終わったところで、長政が広間に入ってきた。
『直美、久しぶりだな。会えて嬉しいぞ』
『長政様、本日はお招きいただきありがとうございます』
『そんなに固くならなくていい。準備はいいか?これから自慢の茶室まで案内しよう』
茶室は城の中庭にある離れの建物に作られていた。
静かにお茶を嗜む(たしなむ)のには充分な造りだ。
政宗と家康も一緒に茶室の入口まで案内されたが、中に入れるのは直美だけだった。
長政と直美が茶室の中に入るのを見ると、政宗と家康は無言で目を合わせる。
(半刻では遅い、その半分の時間かそれ以内にここに戻ります)
(戦の相手が誰なのか分かれば情報としては充分だ。さっさと帰るぞ)
そして急いで内情を探るため、気配を消しながら背中合わせに別方向に向かって歩き始めた。