第25章 茶会
『政宗、家康、なんだかこの町ちょっと変わってるよね』
茶会の前に寄ったのは南に作られた城下町だった。
安土でいうところの大通りは距離が短いだけでなく、城門に向かうにつれ道幅が狭くなっている。
一本裏通りに入れば直角の曲がり角が多く、見通しがかなり悪い。
『城だけじゃなく、町そのものが戦の事を考えて作られたって感じだな』
『ますます物騒に見えてきました。あー、早く帰りたい』
政宗と家康は周囲の様子に目を配りながら直美の後ろを歩いていた。
町の様子に変わった所は見られないが、ふと直美の足が止まる。
『あっ!!』
どうやら道の向こうにいる人物に見覚えがある様だ。
『2人ともちょっと待ってて!』
走り出すとその人物を追うように角を曲がる。
『護衛を置いてきぼりにするなんてありえない!』
『ふっ、まるで暴発した鉄砲の玉みたいな奴だな。家康、追いかけるぞ』
家康はぶつぶつ文句を言いながら、政宗は楽しそうな笑顔を浮かべながら直美の後を追いかけて行った。