第25章 茶会
小谷城は標高約500メートルの小谷山に作られた山城であり、城下町を2つ持っている。
山の地形をそのまま活かして作られた城のため地理的な制約があり、小谷山の南と西の麓に分けて城下町を作らざるを得なかったのだ。
琵琶湖沿いを北上していくと次第に小谷城の姿が見えてくる。
今回は政宗の馬に乗せてもらっていた。
『直美、あとすこしで着くが一旦休憩するぞ』
『うん。馬を休ませないとね』
『茶会に間に合う様に行けばいいでしょ。わざわざ物騒な城に長居する必要ないから』
家康は全然乗り気ではない様子だ。
『そうなんだけど、信長様から内情を探ってこいって言われてるよ』
数日前に信長が部屋に来た事を思い出した。
『そういうのは俺と政宗さんがやるから直美は茶会に専念して。そうじゃないとあんたすぐに百面相になるでしょ』
(うっ、図星だ…)
『戦仕度をしているみたいだが一体どこに仕掛けるつもりだろうな。こそこそ動き回るのは気に入らねぇ』
『それを俺たちで探りますよ。でも茶会が終わったらさっさと帰りますから』
『お茶会が終わったらすぐ帰るの?じゃあ先に城下町を見ていこうよ!』
その一言で短い休憩が終わり、再び馬を走らせて小谷山の麓に作られた城下町を見て回る事になった。