第25章 茶会
次の日から秀吉の御殿に毎日通い、茶会での作法を繰り返し練習した。
おかげで一通りの作法は目を閉じていても出来るようになった…かもしれない。
これならいつ招待されても大丈夫、という所で光秀が送り込んでいた斥候から報告が届いた。
武将たちが広間に集められ信長が説明する。
『浅井長政が兵糧を小谷城に大量に運び込んでいるらしい。それに紛れさせて武器や弾薬も城に集めているそうだ』
『これは完全に戦支度だな』
政宗が楽しそうに声を上げる。
『事を決めつけるには早計だが用心するに越したことはない。それから先ほど浅井から直美宛てに茶会の招待状が届いた。織田家ゆかりの姫として参加させる』
『信長様!戦仕度をしている城に向かわせるなんて俺は反対です!』
『秀吉、これは決定事項だ。政宗と家康は護衛として同行しろ』
『決定事項なら従いますけど、謀反で揺れてるはずの城が戦の前に茶会だなんて普通は考えられませんね』
『ますます面白そうだ。誰と戦するつもりか知らないが、出方によっては一暴れしてもいいな』
政宗の楽しそうな反応に家康は大きなため息をつく。
『怪我されると面倒なんで本当に勘弁してください。茶会が終わったら余計な事をしないですぐに帰りますよ』
それから3日後、直美は政宗、家康とともに小谷城に向けて出発する事になる。
3人が安土を発つのを見送ると、信長は秀吉たちに戦の支度を整えるよう命令したのだった。