第24章 鷹狩り
当然この日の鷹狩りは中止になった。
直美と家康は捕縛した男たちを安土城の地下牢に入れる手配をするため、一足先に城に向かっていた。
村とは関係ない出来事に村人を巻き込むわけにはいかないため、村から少し離れた場所に男たちを連れていく。
そして信長が男の1人に刀を向けて低い声で尋ねた。
『貴様ら、なぜ城主である浅井長政を狙ったのか言え』
刀を突き付けられてもなお男はひるまずに信長を睨み返し、無言のまま時が流れた。
『死ぬ覚悟は出来ている様だな』
刀を首筋に当てると、言葉を発したのは男ではなく長政だった。
『信長様、こいつらの代わりに俺が説明します』
『いいだろう』
『こいつらは俺の家臣に仕える男たちだ。城で何度も顔を合わせているから間違いない。家臣の中には織田軍との同盟を良く思わない者がいる。そいつの差し金でしょう』
『そうだとして命まで狙う理由があるのか』
『俺の代わりに弟を城主にして越前の朝倉と正式に手を組もうとしています。朝倉の敵である織田軍と同盟を結んだ俺は邪魔者でしかない』
『城主の座を兄弟で奪い合う、よくある話だな』
『安土で俺を殺し、全てを信長様の仕業だと思わせるつもりなのでしょう。身内での争いを避けるため織田軍との同盟を解消する交渉に来ましたが、昨日即決出来なかった所を突かれました』