第5章 家康と金平糖
天守での報告によると
直美が走って逃げた後、家康が一人で四人の男たちを相手にしたが全員峰打ちにして気絶させ捕縛。
男たちはあっという間に安土城の地下牢へと連れて行かれたらしい。
『今頃、政宗さんと光秀さんからきつく尋問されてると思います』
『家康、男たちに心当たりはあるか?』
『あいつら今川の残党ですよ。あんなボロい刀で斬りかかってくるなんてありえない』
数年前、西に挙兵してきた今川義元を織田徳川連合軍で撃ち破り、その時の怪我が原因で今川は亡くなったとされていた。
駿府城に残された今川の兵は最後まで抵抗し、城の明け渡しに応じなかったという。
その恨みは根深く、今でも織田徳川軍に一矢報いてやろうと襲いかかってくる者が後を断たなかった。
『後ろから斬られぬ様に常に緊張感を持てという事だ』
『はぁぁ、めんどくさい』
こうして信長への報告を済ませた家康は自分の御殿へ、直美は部屋へと戻って行った。
その日の夜、光秀が春日山に送っていた斥候からの報告を受け、武将たちが集められて軍議が行われた。