第23章 第2部 三成と金平糖
『浅井様、直美様は織田家ゆかりの姫様でいらっしゃいます』
『織田家ゆかりの姫か。宜しくな、直美』
(うわっ!初対面で呼び捨て!?いきなり距離を縮めてくる人なんだ。信玄様とはまた違った感じがする。とりあえず気を付けよう)
『はい、宜しくお願いします』
(あまりよろしくしたくないけど信長様と同盟を組んでるんだっけ)
『浅井様、今日は安土まで来られて何か用事でもあったのですか?』
三成の質問に長政は曖昧な返事を返した。
『んー、信長様にちょっと話があってな』
『では安土城まで一緒に参りましょう』
数名の護衛も一緒に安土城に向かうが、城門をくぐる直前、反物屋に忘れ物をした事に気づく。
『三成くん、ごめんなさい。反物屋さんに蔦花ちゃんが作ってくれたお気に入りの簪を忘れてきちゃったの。取りに行ってきてもいいかな?』
『あれは大切にしていた簪でしたね。そういう事なら寄り道せずにすぐにお戻りください』
『うん。約束する。すぐ戻るね』
三成にそう伝えると再び城下町に向かって歩き始めた。