第23章 第2部 三成と金平糖
反物屋に着くと、すでに店に来ることが知らされていたらしく幾つかの着物が用意されていた。
三成が事情を説明する。
『これらの着物は直美様のために信長様がお選びになった反物で作られた着物です。安土城まで届けてもらってもよいのですが、せっかくなんで気に入った着物に着替えてから戻りましょう』
『えっ、いいの?でも高そうな着物ばかりで何だか申し訳ないよ』
『信長様からの贈り物なんてとても羨ましいですよ。着替えて帰れば信長様もきっと喜ばれます』
『わかった!じゃあ選んで着替えてくるから待っててね』
着替えたついでに髪を結い直してもらい、着物に合わせて綺麗に化粧を施してもらった。
(信長様、おつかいのお礼はすでに反物屋に用意してあるから帰りに受け取れって言ってたけどこういう事だったんだ。さりげない優しさが嬉しいな。帰ったらちゃんとお礼を言わなきゃ)
反物屋を出て2人並んで歩き始めると、いかにも武士という感じの男が三成を見つけてこちらに近寄ってきた。
『石田殿!石田三成殿!』
『浅井様!お久しぶりでございます』
(ん?浅井??浅井って…もしかしてあの有名な?)
『直美様、こちらの方は信長様と同盟を組んでいらっしゃる浅井長政様にございます』
『浅井様、はじめまして。直美と申します』
(この人も生きてたんだ!年齢は信長様と同じくらいかな。この人って確か信長様を裏切ったって勉強したけど、一体どうなってるんだろう?)
百面相にならない様に気を付けながら挨拶をした。