第23章 第2部 三成と金平糖
安土城に戻って約1ヶ月。
肩の傷もすっかり良くなり、笑顔の絶えない毎日を送っていた。
今日はおつかいを命じられて三成と一緒に城下町に買い物に来ている。
買いに来たのはもちろん金平糖。
もちろん信長からの命令。
もちろん秀吉には内緒で。
久しぶりのあの甘味屋に向かうと、店主が三成の顔を見るなりすぐに小瓶を取り出した。
『三成様、いつもありがとうございます』
『お変わりないですか?また来ますので忘れずに仕入れておいてくださいね』
(まさかと思ったけど、やっぱり三成くんも常連さんだったんだ!)
甘味屋を出ると次は反物屋に向かって歩く。
『やっぱりみんな信長様には甘いよね』
『え?何のお話ですか?』
『ううん、気にしないで。三成くんはそのまま甘くていいから。むしろそのままの方がいいよ、うん』
『では直美様もいつまでもそのままでいてくださいね』
(うわぁ、甘ーーーい!やられた~!)
素敵な台詞を言いながら笑顔を返す三成の無自覚の甘さを改めて思い知らされたのだった。