第22章 帰城
パタパタと早足に広間へ急ぐ。
(この先だ。そのまままっすぐ行って左に曲がれば広間だ!)
前に進む事しか考えず、スピードを落とさずに廊下を曲がったその瞬間、
ドンッ!!
向こう側から歩いてきた誰かと派手にぶつかり転んでしまった。
慌てて立ち上がり頭を下げて謝罪する。
『ごめんなさいっ!急いでたんで』
『こーら、廊下は走るなって何度も言っただろ?』
聞き覚えのある優しい声に顔を上げる。
『あ……』
『おかえり、直美』
ぶつかった相手は秀吉だった。
『秀吉さん!ただいま!』
『信長様を庇って怪我したんだってな。もう大丈夫なのか?』
『うん。もう平気だよ』
そう言って左肩と腕をぶんぶん振り回す。
『だーめーだ。傷口が開いたらどうするんだ。おとなしくしてろ』
そう言ってニコニコしながら自然に頭をポンポンしてくれる。
『はーい』
(あぁ、この感じ。スゴく懐かしいな)
『後でゆっくり直美の武勇伝を聞かせてくれよ。光秀なら広間にいるから会いに行ってこい』
『うん!』
走るなよーと言う秀吉の声には振り返らず、そのまま広間へと急いだ。