第20章 毛利元就
『いいのか?このまま戦ったらこの女が巻き込まれるぞ?』
直美を盾にされている状態では銃を向けても撃つことが困難なため、光秀は銃口を一旦下に向ける。
『女を盾にするとは無粋なやり方だな。俺の持ち物に手を出したことを後悔し、ここでその身を滅ぼすがよい』
信長は刀の切っ先を元就に向けると、躊躇する事なく元就に斬りかかっていく。
(まさかこの状態で戦うの!?)
元就は直美を盾にしたまま片手で信長の攻撃を軽々と受け止める。
(2人とも強い!)
目の前で交差する刀に思わずぎゅっと目を閉じたけれども、何だかひどくほっとして涙が一筋頬を伝っていった。
直美が再び目を開けると光秀が刀を抜いて元就の後ろに駆けつけた毛利軍の兵に向かって斬りかかっていくのが見えた。
(あの光秀さんが銃じゃなくて刀を手に戦ってる!せめて足手まといにならないようにしなきゃ)
しかし甲板の上にもはや安全な場所はなくなっていた。