第20章 毛利元就
船から身を乗り出して様子を見ようとした所を元就に引き寄せられ、そのまま肩を抱かれた。
『逃げようとしてたんじゃありません。離してください』
『どうやら本当の飼い主が来たぞ。だから俺たちの関係を見せつけてやるんだよ』
『関係なんて何もないです!』
元就の視線の先に立っていたのは信長と、信長の横でこちらに銃を向けている光秀の姿だった。
『信長様!光秀さん!』
2人の姿を見た瞬間に名前を叫んでいた。
出来ればすぐに2人の元に駆け寄りたい。
が、元就に肩を抱かれた状態のため、一歩踏み出した所ですぐに引き寄せられてしまう。
それを見て信長がゆっくりと腰の刀を抜いた。
『毛利元就、その女から手を離し今すぐ越中から立ち去るのであれば今回は見逃してやる』
信長からの最初で最後の最大の譲歩に、元就は直美を盾にしながら答えた。
『織田信長、この女はお前の首と引き換えだ。ただで引くつもりはない』
元就も自身の刀をゆっくりと抜いた。