第20章 毛利元就
元就は信長と刀を交えながら少しずつ後ろに下がっていく。
と、その時、直美は何かが焦げる匂いと熱い風を頬に感じた。
(もしかして隣の船、燃えてるの!?だとしたら炎がこっちに燃え移ってきちゃう)
周囲を見渡すと左右の船から勢いよく黒煙が上がり、こちらの船に飛び火しているのが確認できた。
信長も元就もそれに気づいているはずだが顔色一つ変えずに斬り結んでいる。
(このままだとこの船、沈んじゃうかも!!)
船が燃える事などお構いなしといった表情で信長と元就は無言で睨み合いながら刀を振るい続ける。
目の前で火花を散らしながら交差する刀は怖い。
けれど、足手まといにならない様に周囲を改めて見渡すと、毛利軍の兵が信長の背中に銃口を向けているのが見えた。