第20章 毛利元就
『これからこの間の続きをしてやるところだったのに、とんだ邪魔が入ったな』
『あなたの思い通りにはさせません』
元就は直美の腕を掴んで立たせる。
『軍神のウサギが実は織田軍に飼われていたとは知らなかったが、利用できるものは何でも利用させてもらう』
後ろ手に縛られたまま連れて行かれたのは船の甲板だった。
(ずっと潮の香りがすると思ったら、やっぱり船の中にいたんだ)
船の上から見えたのは織田軍の兵たちが戦う姿だが、まだ誰もこちらには気づいていない様子だ。
直美にも家康たちの戦う姿がまだ見えていない。
実際にはすぐ近くで家康が次々矢を放ち、その横で政宗と三成が家康を守る様に毛利軍と戦っている。
お互いの存在に気がつくのはもはや時間の問題だった。