第20章 毛利元就

それから間もなくして織田軍が毛利軍への急襲を開始した。


予定通り家康が火矢を船に向かって矢継ぎ早に射ち始める。


異変に気づいた毛利軍の兵が外に出てきても、家康を守る政宗と三成に容赦なく斬り伏せられていく。


やがて船の一部から黒煙が上がり、一気に火の手が上がっていった。


『次の船に向かう！急ぐよ！』


家康の合図で次の船に向かい、先程と同じ様に火矢を次々と放っていく。



織田軍による急襲はもちろんすぐに元就に報告されていた。


『元就様！織田軍による急襲です！』


五箇山から硝石と煙硝を運んでいる隊はまだ港に来ていない。


『まだ出港するには早い。隊が着くまでは応戦してとにかく時間を稼げ！信長が来たら俺が相手してやる』


(良かった。織田軍と信長様がここまで来てる)


織田軍が来てくれた事にほっとしながらも、史実には存在しない戦いにまだ少しだけ不安が残っていた。