第20章 毛利元就
直美が元就と話をしている間、光秀は信長たちを港の近くに案内すると様子が伺える場所に身を潜めた。
『光秀の報告通り、一番大きく見張りの多い船が毛利軍の本陣であろう。おそらくその船の中に直美と毛利がいるはずだ』
『信長様、戦術としては狭い船の上よりも地上での戦いの方がこちらとしては都合がいいのですが…』
三成が何かを考えながら家康に視線を送っている。
『三成、何こっち見てるの?見つめられても全然嬉しくないんだけど。むしろ不快でしかないんだけど。言いたい事があるならさっさと言いなよ』
『はい。本陣と思われる船以外は木造の様ですので、火矢を放てば敵を炙り出せると思います』
『それで俺の事を見てたの?』
『そうです。家康様は弓の名手ですからこれはまさに適任なのではないかと』
『適任って言うけど船なら的も大きいし、弓なら皆使えるだろ』
『家康、やれ。他の者は家康を援護しろ』
信長の鶴の一声により最初の一手が決まる。
『騒ぎになれば毛利も出てくるだろう。だがただ出てくるのを待つだけではなく、こちらから本陣を攻める。絶対に逃がすな』