第20章 毛利元就
『俺の事を慕ってもいいんだぞ?』
『無理です。ありえません』
『なら嫌でも慕う様に、その体に躾をしてやってもいいんだぞ?』
元就は直美に近づくと頭の後ろに手を回し、嫌がる直美に無理矢理口づける。
『んっ……』
『いい声だな』
そのまま襟元を開かれると、なぜか元就の動きがピタリと止まった。
(あっ……謙信様に付けられた印がまだ消えてないんだった!)
『上杉に付けられたのか?気に入らないから俺がもっとたくさん付けてやるよ』
『やめてください!!』
そう叫んだ瞬間、バタバタと走る音と共に毛利軍の兵が部屋の外から元就に話しかけてきた。
『元就様!富山城に向かった兵が上杉軍と織田軍により全員やられた模様です』
『五箇山からの隊はまだ来ないのか?』
『あと半刻ほどかかるかと』
(あと半刻、大丈夫。きっと織田軍が、信長様が助けに来てくれる)
自分にそう言い聞かせ、不安な気持ちを悟られないように隠した。