第19章 白鳥城
『やはりそうか…まずは徹底的に支城を調べろ。ここに上杉と武田以外の何者かがいた可能性が高い』
(この懐刀を持っていたのはおそらく直美だろう。上杉が離れた隙にここから連れ出された、そう考えるのが妥当だが一体誰が…)
手分けして支城とその周辺を調べている時だった。
一番離れた場所にいた家康が急いで信長の元にやって来る。
『信長様、上杉謙信が軒猿を連れてこちらに向かって来ています。どうしますか』
『ここに通せ、話がある』
『話が通じる相手とは思えませんけど。あいつらが卑怯な手を使わないよう、俺も近くで見張らせてもらいます』
富山城から駆けつけてきた謙信と佐助の前に家康が立ちはだかり、2人を信長の所に案内した。
信長の後ろには燃えて半壊した建物が見える。
それは間違いなく謙信が直美を閉じ込めていた建物だった。