第19章 白鳥城
そしてついに翌朝。
まだ外は薄暗いのだが、支城に残された直美は外から聞こえる物音で目を覚ました。
(何だろう?まだ暗いけど、もう食事が運ばれてきたのかな。それとももう戦が始まってるの?)
窓に打ち付けられた木の板のせいで、外の様子が一切わからない。
板には隙間があり、そこから外の明かりが入ってくるものの窓そのものが壁の上部に作られているため直美の身長ではどうする事も出来なかった。
物音に警戒しながら体を起こす。
髪と着物を整え、消えた蝋燭に火を灯した。
少しするとガタガタと扉の閂が外され、勢いよく目の前の扉が開かれる。
そして目の前に現れた男の姿に驚愕した。
『あなた……どうしてここに…』
扉を開けて入って来たのは以前春日山で会った毛利元就だった。