第19章 白鳥城
『光秀、富山城の動きはどうだ』
『はい。越後からの援軍が到着した様です。おそらく真田幸村でしょう。それと、詳しい様子はわかりませんが直美は支城にいる様です』
『ならば戦が始まれば上杉も支城に来る可能性が高いだろう』
『城外への移動に不利な富山城で戦うのではなく、最初から支城が拠点になるかと』
『三成も同じ事を言っていたな。明日の朝、全員で支城に総攻撃をかける、いいな』
こうして織田軍も攻撃の準備を整えていった。
一方、直美はガタガタと扉の閂(かんぬき)が外れる音で目が覚めた。
どうやら食事が運ばれてきたらしい。
牢に不似合いな豪華なお膳を受けとるとすぐにまた扉が閉められる。
(いくら豪華な食事でもこんな状況だと味気ないな)
お腹は満たされたものの、これからの事を思うと憂鬱になってしまう。
(不安だ…でも光秀さんの言葉と信長様を信じよう。きっと助けに来てくれるはずだから…)
余計な事を考えないよう、この日は早く眠ることにした。