第19章 白鳥城
『全てが終わって越後に戻ったらお前を抱く。すぐに片付けて迎えに来るから待っていろ』
『謙信様、ちょっと待ってください!』
(いきなりこんな事して何を考えてるのか全然わからないよ…)
直美の声に反応する事なく、謙信はそのまま外に出て行ってしまった。
目の前で扉が閉められるとすぐに閂(かんぬき)の音が聞こえる。
(完全に閉じ込められちゃった……)
隙間から漏れるわずかな明かりを頼りに周囲を見渡す。
建物の中には蝋燭、行灯、文机、碁盤、書物に布団など、ここで数日を過ごすには十分な物が用意されていた。
(三成くん、大丈夫だったかな。蔦花ちゃんも心配してるだろうな。あぁ、これからどうなるんだろう)