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イケメン戦国 安土城の居候

第4章 秀吉と金平糖


それからしばらくして光秀さんが迎えに来てくれた。

最初は秀吉さんと一緒にいたから、これはかなり想定外の展開。

でも1人孤独な状態から解放されて心から安心した。

『まだ城下に用事があるのなら俺が一緒に行ってやるぞ』

『ありがとうございます』

光秀さんの事はまだよくわからない。

未来では本能寺の変の首謀者だと言われているけど、今私が実際に体感している歴史はまるで違う。

(そばにいればいるほど混乱しそう…)

『また百面相ごっこだな』

『そんなんじゃないです』

どうやら光秀さんに隠し事は通用しないみたい。

『面白い奴だ。お前には間者など3分も務まらないだろうな』

『そんなことしませんから問題ないです』

何だかムキになってしまう自分が恥ずかしい。これではまるで肯定しているみたいだ。

しかしこの後も光秀さんとの会話が自分のペースになることはなかった。

ちらりと光秀さんを見ると広間へ向かった時と同じ、楽しそうな顔をしていた。

悔しいけれどこの人にはまともな会話では勝てない、そう思った。

家康から頼まれた買い物を済ませた後は、大通りに面したお店を見ながら再び安土城へと向かう。

その途中、ふいに手首をつかまれ裏道に連れていかれた。

『光秀さん?どうしたんですか?』

聞くやいなや、壁を背に立たされる。

そして顔の横にゆっくり手を伸ばすと壁ドンしながら無言で目を合わせたまま顔を近づけてきた。

『み、光秀さん!?あ、あの、ちょっと…』

あとわずかで唇が触れる、そう思ってぎゅっと目を閉じた。

しかしそこからは何も起こらず、そっと目を開ける。

『……ん?』

『なるほど、やはりこれでは間者には向かないな』

『もしかしてからかったんですか!?』

『俺は自分の目で見て確信するまでは何も信じない性格なんでな。お前の反応は実に面白かった。信長様が気に入るのも理解できる』

『わけのわからないこと言わないでください。それからからかうのも止めてくださいね!』

顔を赤らめ、会話のペースを奪われたまま安土城へと戻って行った。
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