第18章 囲碁勝負
ゆっくりと、言葉を慎重に選びながら自分が500年後から来たことを話した。
『それで目を開けたらなぜかこの時代の本能寺の中にいたんです。目の前にいた信長様をとっさに助けたのが縁で安土城に居候させてもらう事になりました』
信玄も謙信も信じられないといった様子でしばらく沈黙していた。
先に口を開いたのは信玄だった。
『それなら君の素性が掴めないのも納得がいく。まさか500年後から来ているとは思わないからな』
『どこから来たなど今さら重要な事ではないだろう』
笑い飛ばされるか、もしくは斬るって言われるかと思っていたけれど2人とも信じてくれた様だった。
『ずっと黙っていてごめんなさい。周囲に知られてしまうと大変な事になるので言えませんでした』
『言えなくて当たり前だ。お前は知識を武器に負けるはずの戦を必ず勝利に導く存在なのだからな。利用され、捨てられたくなければ黙っていて当然だろう』
『姫、織田軍の人間はこの事を知っているのか?』
『はい。信長様と秀吉さんだけですけど。歴史を変えないため2人とも戦に関わる質問は一切しませんでした』
光秀が知っていることを直美はまだ知らない。
そしてこの場では何も聞かれていないので佐助については何も言わなかった。