第18章 囲碁勝負
『結果のわかる戦などつまらん。だから戦や未来のことは聞かぬ』
『俺もだ。利用しようだなんてこれっぽっちも思ってないからな』
『ありがとうございます』
数日後には始まるであろう戦の事は何も聞かれず、この日の囲碁勝負は幕を閉じた。
(ついに秘密を知られちゃった。でも信玄様も謙信様も私を利用するつもりはないみたいで安心したな)
1人になった後はなかなか寝付けず、翌朝は朝食を運んできた蔦花に叩き起こされたのだった。
『蔦花ちゃん……おはよう…』
『直美ちゃん?どうしたの?』
寝不足なのがすぐに分かったらしい。
『昨夜ちょっと色々あってね。あ、十兵衛様に伝言を頼みたいんだけどいいかな?』
『うん。今から城下に用事があったから大丈夫だよ』
『えっとね、謙信様と信玄様に秘密を知られたって信長様に知らせてっていうのが伝言なの。なんか上手く言えないんだけど…』
『えーと、つまり秘密を知られた事を十兵衛様から信長様に伝わればいいんだよね、大丈夫。任せて』
『蔦花ちゃん、ありがとう』
蔦花は城下に出るとまっすぐに光秀の元に向かう。
直美は朝食を済ませるとこれから支城の下見に行くと言われ、謙信と2人で出かける事になった。