第17章 富山城
『あのまま2人が戻らないから広間で皆であらぬ事を話してたぞ。俺は肯定も否定もしなかったけどな』
『こいつが俺を求めたんだから仕方あるまい』
『謙信様!誤解される言い方はやめてください』
『姫は酒に酔うと大胆になるんだな、覚えておこう』
もう最初に何を聞いたかなんて忘れてしまった。
『姫、富山城には春日山城と違って女中がいる。気の合う女中がいたら話でもして快適に過ごせばいい』
『はい。お気遣いありがとうございます』
楽しい会話で盛り上がる3人を遠くから見つめている男がいた。
『龍に虎に兎、面白い組み合わせだ。こんな所で会えるとは嬉しいね』
その男、毛利元就は何かを思案しながら森の中へと姿を消していった。