第17章 富山城
謙信、信玄、直美の3人も増山城を出発し、富山城へと向かっていた。
その最中、気になっていた事を聞いてみる。
『富山城は謙信様のお城なんですか?』
『ああ、今はな』
『今はって事は前は違ったんですか』
『姫は知らないよな、最近まで違う奴が城主だったんだ。そいつが上杉傘下の国に手を出したから、助けるついでに富山城を落としたんだよ』
『ついでに落とした!!』
(さらっと凄い事を言ってる…)
『富山城は面白い造りをしている。あれはなかなか楽しい戦だったな』
『戦が楽しいんですか?私にはその感覚は全然わかりません』
『戦に勝るものはない。俺にとっては戦う事こそが喜びであり生き甲斐だ』
正直驚いた。
こんなにあっさり言い切ってしまうなんて。
ちょっと頭の中を覗いてみたい気もする。
『変わってるよな、謙信は領地を広げるために戦をするんじゃない。守るため、そして自分が楽しむために戦ってるんだ』
『はぁ、そうなんですか。でも戦う以外にも楽しい事はたくさんあると思いますよ?』
『そうだな、先日の宴で酒に酔ったお前を見ているのはなかなか楽しかったぞ』
『あれは!忘れてくださいね!』
笑って泣いて立ったまま寝た事を言っているのだろう。
確実に黒歴史の1つになってしまった。