第16章 増山城
『はい。でも内緒ですから言えません』
『じゃあまた囲碁で勝負しないとな。姫はどんな男が好きなのか知りたい』
『今日の会話の内容は私じゃなくて彼女の想い人の話ですよ。それと心理戦はもうやめてくださいね』
『それは約束できないが覚えておこう』
動揺して初めて勝負に負けた夜を思い出す。
(あの時はなんとか上手く切り抜けたけど、いつどんな質問をされるかわからない。信玄様との囲碁勝負は気が抜けない。本当に気を付けよう)
引き続き城下町を目的もなくぶらぶら散策する。
一通り散策を楽しんだ後は甘いものと梅干しとお酒を購入し、暗くなる前に増山城に戻る事にした。