第15章 再び城下へ
会話がいつもの調子に戻ってきたところで囲碁勝負が開始になった。
核心に触れない質問には答えることにして、普通に会話をしながら碁石を置いていく。
『姫は囲碁が好きなのか?小田原では負け知らずだったらしいが』
『好きとか嫌いとかそんなんじゃないです。三成くんに教えてもらって覚えたんですよ。それまではやり方すら知りませんでした』
『成る程、石田が師とはなかなか興味深いな』
『当たり前ですけど、三成くんには今まで一度も勝てませんでした』
『だろうなぁ、あいつに勝てる奴がいたらそれは相当な策士だろう』
三成に勝てそうな人物を想像した時、脳裏にすぐ信長の姿が浮かんだ。
『あっ、一人…いえ、何でもないです』
言いかけてやめたのが逆に不自然になってしまう。
『もしかして信長の事でも思い出していたのかな?』
(鋭い!さすが信玄様、何でもお見通しだ)
『図星の様だな。じゃあここからは心理戦といこう』
『心理戦?何ですかそれ?』