第15章 再び城下へ
それから2人が連れて行かれたのは港の近くにある倉庫の様な建物だった。
中にある物を見て佐助は一つの考えにたどり着く。
『硝石(しょうせき)と煙硝(えんしょう)の買い付けか…一体どこの軍の者ですか』
(これ、秀吉さんと光秀さんから教わった!煙硝は鉄砲の火薬を作るための材料だって。安土でも隠し倉庫に保管してるくらい貴重な物だったはずだ…)
『さすが軍神に仕えるだけあって賢い忍君だな。今回は理由あってここまで買い付けに来なきゃならなくなった。
俺は毛利元就。名前なんかどうでもいいな。お前、上杉の軒猿をやめてうちの世鬼(せき)一族に入らないか?』
(毛利元就!?この私でも名前は知ってる!!しかもこれはヘッドハンティングってやつ?)
『お断りします。俺は謙信様に一生ついていくと固く約束していますので』
表情を変えないまま、佐助は迷うことなく答えた。
『そうか、ならいい。残念だがこの話は無しにしてやる。じゃあ…』
そう言うと元就は直美に近づく。
諦めの良さの裏には何かあるとしか思えない。
『次はあんたの番だ、軍神に飼われてる可愛いウサギちゃん。ちゃんと捕まえとかないと食われるぞって、護衛に注意してやったばかりなのにな』
(あれはウサギの話だったんじゃないの!?)