第15章 再び城下へ
佐助と直美は歩いている所を数人の男たちに囲まれていた。
会話に夢中になりすぎて男たちがすぐ近くに来るまでその気配に全く気づかず、声を掛けられて振り向いた時にはすでに刀を向けられていて身動きが取れなかった。
振り返るとすぐに直美と佐助は男たちの中に見覚えのある顔を見つける。
『あなた、昨日の!!』
それは城下でウサギを捕まえてくれた男に間違いなかった。
『覚えててくれたなんて嬉しいね。ちょっと待ってな。先に用があるのはこっちの忍君だ』
そう言うと男は佐助に視線を向ける。
佐助も負けじと男を睨み返した。
『誰だか知りませんが俺に何の用ですか』
『越後の龍の元に優秀な忍がいると聞いてな。買い物ついでに迎えに来たのさ』
(佐助君を迎えに来た?どういう事?)
『それにしては随分と物騒なお出迎えだな』
佐助は表情を変えない。
『ここじゃ目立つ。話は移動してからだ』
『あなたたちと話す事など何もない』
『ふーん、今の自分たちの状況、わかってるよな?』
男は直美に刀を向けると刃先で髪を掬う。
『きゃっ…』
『わかったからやめろ。刀を下ろせ。彼女には指一本触れるな』
『わかったなら黙ってついてこい』
2人はその場で後ろ手に縛られ、逃げるすべを完全に失ってしまった。