第14章 春日山
『これはまたとない機会ですから私は絶対に諦めません。どうか前向きにご検討ください』
そう言うと景家は足早に広間を出て行った。
『はああ~~、もう何なのーー』
どっと疲れが押し寄せる。
『何を話してたか知らねーが、景家の前で謙信様の悪口はご法度だ。あいつ、謙信様に心酔してるからな』
『うん、いかにもそんな感じがしたよ…』
(それって何だか信長様と秀吉さんの関係に似てるかも。だけど秀吉さんはこんな事までお世話しないだろうなぁ)
『もし謙信様の事であいつに絡まれても適当にかわしときゃいい。俺も信玄様もそうしてる。で、さっきは一体何を絡まれてたんだ?』
『あのね、謙信様の正室になってくださいって言われたの。でも何をどう考えてもありえないでしょ!』
『あいつの考えそうな事だな。勝手に動き回ってるだけだからしつこく迫られても上手くかわせよ』
『うん、そうする。ありがとう』
広間に謙信と信玄が来たためこの話はここで終わりになった。