第13章 それぞれの戦い
小太郎は止血が終わると天守の鍵を開けた。
『これより城内に残る北条の兵を織田軍、上杉武田の2人と共に一掃します』
『でも傷が!』
『右腕一本あれば心配いりません。これでも実力でのし上がった頭領ですよ』
そう言うと小太郎はふっと笑い、足早に天守から出て行ってしまった。
小太郎が出て行った後、静寂を破る様にそこに現れたのは信長でも上杉武田の2人でもなく佐助だった。
それも天守の外からだ。
『幸村、直美さん、大丈夫?』
『佐助君!?』
『おっせーよ、すげー修羅場だったんだぞ』
『ああ、すまない。謙信様に言われてとりあえず様子を見に来たんだけど…』
佐助はすぐに氏政の存在に気づいて目を細める。
『佐助、こいつはもう動けねー。だからちょっと見ててくれ。俺は謙信様たちの護衛に行ってくる』
『分かった。ここは俺に任せてくれ』
会話の後、幸村は小太郎を追いかける様に天守を出て行ってしまった。
『状況がよくわからないけど直美さんと幸村が無事で良かった』
『うん、大丈夫。でも………』
そう言って氏政に視線を移す。
覚悟を決めたのかずっと黙ったままだった。