第13章 それぞれの戦い
一方の織田軍は小田原城の西側から城内への侵入を進めていた。
正面よりも横から攻めた方が見張りが少ないだけでなく、城の構造上、中に入り込むには正面よりも西側から行くのが一番の近道だった。
北条の誇っていた鉄砲隊は氏政による粛清のためにすでに機能しておらず、織田軍の侵入を簡単に許す結果になっていた。
先陣は政宗の率いる隊が務め、次々と襲いかかってくる北条の兵を倒していく。
すると政宗の視線のずっと先に謙信と信玄の戦う姿が見えた。
政宗がすぐに報告する。
『信長様、上杉と武田がこの先で北条の兵と戦っています。いかがいたしますか』
『上杉に武田か。一度に全員相手してやってもいいが、まずは直美の救出が先だ。北条の首から狙う。何としても氏政を引き摺り出せ』
『ではこのまま西側からの進軍を進めます』
織田軍も上杉武田の二人もお互いの存在に気づいているものの、先に狙う首は同じだった。