第12章 幸村のターン
同じ頃、織田軍も小田原城に向けて進軍を開始していた。
武将たちがそれぞれ自発的に戦の準備をしていたおかげで、出陣すると決めてすぐに安土を発つ事が出来た。
信長を先頭に家康、政宗、秀吉がそれぞれ隊をまとめて同行し、駿府城で休憩を取っている。
信長と秀吉は兵たちが休むのを見ながら話をしていた。
『顕如を捕らえた時に北条が動き出すと言っていたが、北条軍が半分の規模になるとは好都合だな』
『はい。ですが上杉と武田も小田原城に向かっているようですから、そちらも目が離せない問題です』
『真田を潜り込ませ、北条を油断させて首を獲るのが狙いかと思ったが恐らくそれだけではないだろう』
斥候が幸村と直美の姿を城下町で目撃している。
その2人の姿は姫と護衛というよりは、仲の良い友達の様だったとの報告がされていた。
『上杉武田より先に小田原城に攻撃を仕掛け、とにかく早く直美を救出しましょう』
『ああ、ここから先は休まずに進むぞ』
ほどなくして織田軍は再び東に向かって移動を開始した。