第12章 幸村のターン
一方、春日山では
謙信、信玄、佐助の3人は三ツ者からの報告を受けるとすぐに小田原城に向けて出発した。
『謙信様、今回はちょっと騒ぎを起こすだけです。ちょっとだけですよ。大事な事だから2回言いました』
佐助がいつもの様に謙信に注意をしている。
『佐助、好きに斬らせろ』
返ってくる返事はいつもと同じだ。
『そんなことして直美さんと幸村の身が危なくなっては困ります』
もちろん謙信は不満そうだ。
『そうだぞ~、謙信。あの2人に何かあったら俺が困るからな』
『敵の城に入り込んで我慢など出来ぬ。目の前に北条が現れたら迷うことなく斬る』
信玄の話を聞いているのかいないのか、謙信の頭の中はすでに戦闘モードの様だ。
佐助が来る数年前、攻撃を仕掛けたものの撤退を余儀なくされた事のある小田原城は謙信と信玄にとって因縁の場所でもある。
『もちろんそうなったら俺だって刀を抜くさ。北条軍が粛清によって縮小した今なら城をこのまま落とすのも不可能じゃない』
『俺は最初からただで帰るつもりはない』
2人の会話に佐助の入り込む余地はなく。
小田原城の急襲に向け、急いで馬を走らせていった。