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イケメン戦国 安土城の居候

第2章 安土城


『えっと…、まずは本能寺で助けたのが信長様だとは思いませんでした。驚いてしまってその場から走って逃げた事は謝ります。

森に入った所で、顔に大きな傷跡のある袈裟姿の男の人に声をかけられました。森は危ないから一緒にこいって』

『おい、そいつがおそらく黒幕の顕如だぞ!』

政宗がそう言うと信長様がニヤリと笑った。

『直美を連れて行こうとするなど面白い。おそらく本能寺から出てくるのを見ていたのだろうな。直美、続けろ』

『はい。一緒に行くのを断って一人で森を出ることにしたんですが転んでしまい、近くにいた謙信様、信玄様に助けられました。ちゃんと足の怪我を治療してあげるから春日山城に来いと言われました』

『!?』

何故か広間にいた全員が固まっている。

静寂を破ったのは家康だった。

『上杉謙信と武田信玄でしょ。あいつらに様とかつけなくていいから。あんた、その二人が信長様の敵だって事まさか知らないの?バカなの?』

『えっ!?そうなの!?怪我しちゃってたし、あの時の自分は敵も味方もない状態でかなり混乱してたから…。あ、実はあの人たちに守ってもらったんです。いきなり黒装束の人たちが出てきたから驚いたけど、凄く楽しそうに刀を抜いてました。離れた場所で落ち着くのを待ってたら政宗と三成君が来てくれて、そして安土城まで来たんです』

『刀を抜いたのは上杉謙信で間違いないだろう。死んだと思っていたが甲斐の虎まで現れたか。光秀、すぐに春日山城下に間者を送り込ませろ』


三成が見つけた黒装束の人たちは謙信たちがやったのだと全員すぐに理解した。

三成の部下を襲ったのは居場所を知られたくない顕如で、狙われていたのは多分直美だということも。
三成と直美の報告によって全てが繋がった。

『直美、価値ある情報だ、よくやった。やはり貴様はこの俺に幸運をもたらす女だ。褒美に懐刀をくれてやる。軍議の後、天守まで来い』

(えーっ!刀とかいらないんですけど!でもそんな事言えるわけないか。この時代って褒美が刀ってのは珍しくないって勉強したもんな)


信長は武将の皆に細かく指示を出し、そして軍議は終わった。
みんなの背中を追いかける様に急いで広間を出た。

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