【イケメン戦国】プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭②~
第4章 【一月三十日 正午】〜ほっこりランチタイム〜
これ以上説明を求めてもきっと佐助くんは濁すだけだろう、と踏んだ私は早々と考える事に諦めをつけ。
最高級のビロードのリボン、とやらに思いを馳せながら、珍しく仲の良い二人へと視線を戻す。
「はぁ、なんでそうなる訳…
ったく、お前の考えは気が知れないよ」
「家康様、お褒めの言葉など…痛み入ります」
「誰も褒めて無いんだけど。本当に、おめでたいにも程があるね」
結局喧嘩になるのね、とため息をつきながら。
二人の間に割って入るため、足を踏み出す。
ぱちん、と最後の焚き火の爆ぜる音がして、弱々しい炎がもうすぐ消えそうだ。
あたたかな時間の終わりを感じながら、政宗の指令とやらはきっと意地が悪いんだろうな、と想像すると、笑みがこぼれてくる。
「もう、また二人は喧嘩して。ほら、行くよっ」
呼びかける声に、二人が言い合いを止め。
私が歩み寄るのを待ってくれる。
手を差し伸べてくれる家康と、それを優しく見守ってくれる三成くん――
誕生日の準備だけで、祝う側の私がこんなに幸せになって良いものだろうか、とほくそ笑みながら。
家康の手を取り、三成くんに笑い返す。
最後にお礼を言っておこうと振り返ると、そこに佐助くんの姿はもうなかった。
まさに神出鬼没だね、なんて家康の呟きに深く同意しながら。
政宗の所へ、いざーっ!
と、寒空にも負けず意気揚々と、一歩踏み出したのだった――