【イケメン戦国】プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭②~
第4章 【一月三十日 正午】〜ほっこりランチタイム〜
風の凌げる場所に移動し、政宗からだという大きな包みを紐解く。
ずっしりと重量感のある、その中からは黒い漆塗の箱が四つ。
「これは、お重…?」
「そうだね。千花さん、お弁当みたいだ」
いつの間にか手際よく火をおこし、暖を取れるようにしてくれた佐助くん。
暖かな火を囲みながら、四つ入れられていたお重を、一人ひとつずつ配ると。
私のせーの、の掛け声で一斉に開ける…
「わあっ…!!」
「これは、見事ですね…!」
「いちいち、華やかで派手…なんとも、政宗さんらしいね」
「俺の分まで…写メを撮りたくなるな」
お重の中身は、まるで一足早い春をぎゅっと敷き詰めたかのような散らし寿司だった。
錦糸卵に桜でんぶ、青豆の彩りが目に鮮やかだ。
朝から動き詰めで、空腹も忘れかけていたけれど。
一気に思い出された食欲に唆されて、勢いよく箸をつける…
するとその時、折角つけた火を消さんばかりの突風が吹いた。
なんとかお重だけは死守しようと、庇うように背を向ける。
ふわり、と、お重を包んでいた風呂敷を風がまき上げる…
そして。
その中に残されていたらしい、一通の文がひらり、と地面に舞い落ちた。