【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第10章 【真紅の水仙】〜誕生祭⑤〜後編※R18
文には、
信長らしい達筆な字体で……
『明日から始める』
そう一言だけ綴られ、
下記には印された今日の日付。
「始める?何を?」
「……さぁね」
「贈り物はまだ見せれないって。さっき言ってたよね?それと、何か関係があるの?」
「……内緒」
「???」
疑問符を頭に浮かべたひまり。
家康は左手を伸ばして、
肩に掛けていた羽織を脱がす。
そして、そっと耳に口を寄せると……
「誕生日にわかるよ」
ひまりのね。
そう囁いた。
武将からの数々の贈り物……
一番大きな箱には「五つ紋付羽織袴」が、綺麗に畳まれ仕舞われていた。
二人は一粒しかない赤い金平糖を……
「………俺にも頂戴」
甘い口づけをしながら……
ありのままの姿で肌を合わせ……
お互いの口の中に……
甘酸っぱい味を広がらせた。
「生まれた日」
それは、
一番最初の素敵な『贈り物』
こうして二人のように、
生まれた時が違っても……
二人は出会い……
「……愛させてよね」
それが俺自身にとって……
一番の甘やかしになるから。
愛し合うことが出来たのだから。
ロウソクを吹き消した時。
二人は何を願ったのか……
ずっと、家康と(ひまりと)
時を一緒に歩んでいけますように。
それは、思い出の中に秘めた。
同時刻、天守にて___
「今度は、家康が参加ですね」
「くくくっ。まぁ、全貌はひまり同様。……秘密だな」
「明日から始める。後の二人にも伝えておけ」
脇息に凭れたまた信長はそう告げ、月を見上げる。
そして懐から、小さなリボンで結ばれた透明の袋を取り出すと……
ーー………俺は食べないので。
カリッ…コロッ…。
赤い金平糖を一粒。
ニヤリと笑みを浮かべ、
……口の中で転がした。
〜真紅の水仙〜1月31日〜